FEATURES

の食機能発揮メカニズムを探求する
(細胞培養からノックアウトマウスまで)

食機能分子の生体での作用を明らかにするためには、その受容体が存在しないマウスが必要です。当研究室では、世界にない独自の食品因子受容体欠損マウスを作製・保有しています。緑茶カテキンにおいて、その受容体である67LRを欠損したマウスでは作用が消失することを確認し、カテキンにセンサー分子が存在することを証明しています(J. Agri. Food Chem. 74, 2111-23, (2026))。その他の食品成分についても、標的と予想した受容体を欠損させた場合に健康増進作用が消失することを明らかにしています。また、培養細胞レベルでも遺伝子発現の抑制や強制発現、エクソソームを介した細胞間相互作用の評価を行っており、細胞からマウスまで一貫した精緻なメカニズム解明と活性評価を得意としています。

薬グレードの研究技術

緑茶カテキンの研究を通じて明らかになったcGMPによる生体保護作用の仕組みは、現在、食品の枠を超え、新たながん治療戦略として研究を進めています。
多くのがん治療において免疫チェックポイント阻害剤が用いられていますが、腫瘍内の血管異常(炎症などによる血管機能低下)、腫瘍内の線維化、免疫抑制細胞の増加により抗がん作用が減弱することが問題となっています。
当研究室では、cGMP研究に関するノウハウと米国製薬会社およびペンシルベニア大学との共同研究により、腫瘍免疫を劇的に改善する世界初の手法の開発に成功しました。この成果はScienceの姉妹誌であるScience Translational Medicineに掲載され、「Science Translational Medicineに掲載された日本人」としても選出されました。著名な医学系研究室が並ぶ中で、農学系研究室としては当研究室のみであり、医薬研究の観点から見ても高い研究レベルを示しています。
このような背景から、当研究室で鍛えられた卒業生の多くが、食品企業や製薬会社などで研究者として幅広く活躍しています。

機能のフロンティアへ

当研究室は初期からエクソソームや植物中に含まれる難分解性の植物マイクロRNAに着目し、その機能性に迫る論文を数多く報告しています。また近年では、大手食品企業と共同でカカオ中に含まれる新規神経保護因子の発見にも成功しています(論文に報告済み)。当研究室の強みであるマルチオミクス技術(多様な情報を同時に評価する技術)と、得られた候補分子を丹念に改変・評価する技術(分子細胞生物学・解析技術)の両方を活かし、新たな食機能の扉を開く研究成果を生み出し続けています。